「夏も近付く八十八夜」という歌いだしで始まる文部省唱歌『茶摘』をご存じですか。
八十八夜とは立春から数えて88日目のことを指し(注1)、八十八夜に摘んだお茶を飲むと、一年間、病気をせずに健康に過ごせると言い伝えられています。
新茶の時期とも重なり、お茶屋にとって、とても大事な日です。
八十八夜を決める基準となる「立春」の日は、地球と太陽の位置関係で決まります(注2)。360度を15度ずつ24分割したうち、この位置関係が315度になる瞬間が「立春」です。
1985(昭和60)年から2020(令和2)年まで、その瞬間は2月4日内に起きていましたが、2021(令和3)年は2月3日23時59分に起きるのだそうです(注3)。
従って、多くの人が「立春は2月4日」という感覚をお持ちだと思いますが、2021年は、2月3日になります(注4)。
豆をまいて邪気を払う「節分の日」は、立春の前日ですので、長い間2月3日だった節分の日も、2月2日に動きます。
ということは、同じく立春の日に連動して決まる「八十八夜」も、長い間5月2日でしたが、2021年は5月1日に動くのか?と思いきや・・・
八十八夜は、ひと足早く、2020年に5月1日に動いていたのです。
2020年がうるう年だったため、2月3日の節分の日から2月29日を入れて88日分数えると、5月1日だったのですね。
身近な季節の行事が天文学で決まるというのは不思議な感じもしますが、私たちはいつでも、太陽の恵みとともにあるのだと実感します。
2021年も、小野園の深蒸し茶は、御殿場の温暖な太陽をたくさん浴びて、おいしくなることでしょう。八十八夜が楽しみですね。
注1)こよみ用語解説 二十四節気 – 国立天文台暦計算室
注2)二十四節気の定め方 – 国立天文台暦計算室
注3)令和 3年(2021)暦要項 二十四節気および雑節 – 国立天文台暦計算室
注4)節分の日が動き出す – 国立天文台暦計算室