「お茶の花」と言っても、茶席に飾る花「茶花(ちゃばな)」のことではありません。
正真正銘、お茶の樹に咲く花のお話です。
そうです、お茶の樹にも花が咲くんです。
「お茶の樹」と言えば青々とした茶畑が目に浮かび、花が咲いている光景はちょっと想像がつかないかもしれません。
でも、お茶はツバキ科の植物で、白ツバキにそっくりな花をつけるんです。
大きさは直径3から5cmぐらい。一般的なツバキよりはやや小ぶりですね。
そして、満開になると「しべ」(めしべ、おしべ)が冠のようにひらきます。
小さめで白い花びらの真ん中に、黄色いしべが広がっていて、形も色合いも可愛らしいものです。
花の時期は10月から11月頃。うつむいた感じで、下向きに咲きます。
花が咲くのですから、もちろん「お茶の実」もなります。
でも、お茶畑では、花も実もなかなか目にする機会がないでしょう。
花や実をつけるということは、樹にとってそれだけエネルギーを使うということ。
私たちお茶生産者としては、花や実よりも、良い葉をつけることに栄養を使ってもらいたいので、花芽はすぐに摘み取ってしまうのです。
樹を殖やすときは、タネ(実)から芽を出させて栽培するのではなく、挿し木を行ないます。
もちろん小野園でもそうです。
できるだけ良い葉で、おいしい深むし茶を作りたいですから・・・。
でも、可愛らしくてきれいな花なので、機会があったら鑑賞してみてください。
また、お茶の花は食べることができ、天ぷらにして食べたり、煮詰めてお茶漬けの具にしたり、という地方もあります。
さらに茶の葉と同じく、煎じて飲むこともあるそうですよ。
花の深むし茶・・・。
ちょっと飲んでみたいかも?