茶の樹は温暖で雨が多い地域でよく生育します。
適した降雨量は年間1300ミリから1400ミリぐらい、気温は年間平均が14度から16度ぐらい、寒い時期でもマイナス5度以下にはならず、夏は40度を超えない程度が適しています。
我が国の、農作物としてお茶を栽培できる北限は、日本海側が新潟県村上市、太平洋側が茨城県大子町です。村上市のお茶は「村上茶」、大子町のお茶は「奥久慈茶」として知られています。
さて、静岡県はそんな茶の樹の生育条件にぴったり合うのですが、さらに小野園がある御殿場には、もうひとつのすばらしい自然条件があります。
それは「霧」。
茶の葉は、日光に当たって紫外線を浴びると、ポリフェノールの一種で渋みの成分である「カテキン」が多くなります。
反対に、紫外線をあまり浴びないと、甘み成分の「テアニン」が多くなります。
(詳しくはコラム「『新茶で長生き』って本当?」をご覧下さい)。
さて、御殿場はとても霧が発生しやすい土地で、しばしば東名高速道路の渋滞を引き起こすほど。
この霧が、お茶にとっては「天然の紫外線よけヴェール」の役割を果たします。
つまり、御殿場の茶の樹は、ちょうど良い具合に時おり日光がさえぎられ、紫外線を浴びる量が少ないということ。
そのため、適度な渋みと口に残る甘みのバランスが取れた、良いお茶ができるのです。
小野園の自社農園および契約農園の茶の樹も、富士のふもとで御殿場の自然の恩恵を受け、今日もおいしい深むし茶になっていくのです。