「なるべくお早めにお飲みください」・・・お茶のパッケージには必ずこんな但し書きがありますよね。にも関わらず、お茶は乾物というイメージで長期保存できると思い込んでいませんか? 思ったよりも茶葉はデリケートなのです。たとえ見た目は変わらなくても、お茶本来の味と香りには、やはり寿命があります。
◎お茶は保存品ではありません
お茶は植物を加工した食品でありながら、味や香りが命の生鮮食品でもあります。お茶は袋の中で生きています。そのため長く保存している間にだんだん爽やかな新鮮香が失われ、色も変わり、味も悪くなってしまいます。例え開封前のものを冷蔵庫で保管しても、半年もたてば風味の違いがあらわれます。もちろん、お茶はいたんでも身体に全く害はありませんが、なにより美味しさが半減してしまうのは、とても残念な事です。また、最近特に注目を集めているお茶の有効成分の働きにも同様に期限があり、時間が経てば経つ程その効果は低減してしまうのです。
◎上手な保存方法
お茶本来の美味しさを味わうためには、買いだめは厳禁です。約2週間で飲みきれる量を目安としてお求めになるのが望ましいでしょう。どうしてもまとめ買いする場合は、できるだけ小さな単位でパッケージされたお茶をいくつか購入し、ひとつずつ開封することをお薦めします。
そんなデリケートなお茶ですが、神経質になりすぎる事はありません。
- 袋入りのお茶の場合は開封したら密封できる缶に移しかえる
- 表示された賞味期限でだいたいの目安を知っておく
- 置き場所に気を配る
これだけで本来の風味は保てます。
この中で気をつけていただきたいことは、開封した後のお茶の置き場所。次のような場所はなるべく避けてください。
◇温度の高い所や直射日光のあたる場所(例えば窓際や、レンジのそば)
お茶の酸化がさらに進みます。
◇湿気の多い場所や温度差の激しい所
水分を吸収して痛みやすくなります。
◇冷蔵庫での保存はなるべく避ける
お茶は他の匂いを吸収しやすいものです。茶缶をビニールテープで密封しても他の食品の匂いがついたり、冷蔵庫を開閉する度に温度差からくる結露で湿気を吸収してしまいます。(開封前のお茶でしたら、冷蔵庫での保管はある程度の期間有効です。)
また、開封してからしばらく置いておく場合は、『冷凍庫』(匂いのつきやすい「冷蔵庫」ではありません。)での保管がお薦めです。ただ、いったん取り出したら再び冷凍庫に戻さず、そのまま使い切って下さい。
◎“新しくない”お茶の見分け方
本来、水分を3%しか含まないお茶は、腐ったりカビが生えたりするという心配はありません。ただ、次のような変化がみられる時には注意してください。
【見た目】・・・明らかにツヤがなくなり茶褐色になっている。
【香り】・・・・すがすがしいお茶の香りが完全に失われ、いやな匂いがする。
【お茶を入れた時の色】・・・赤茶色っぽい。
お茶は味と香りが命の“生もの”です。湿気や温度差など、環境の変化がなるべく少ない状態で保存し、なるべく早めに召し上がっていただくことが、私たちにとってもお茶にとっても幸せなのです。