ユネスコが認定する「世界自然遺産」(白神山地など)や「世界文化遺産」(富士山など)と並ぶ、「世界農業遺産」をご存じでしょうか。
国連食糧農業機関(FAO)が認定するもので、農林水産省によると、伝統的な農林水産業と、それにまつわる文化・ランドスケープ・生物多様性などが一体となった、「世界的に重要な農林水産業システム」です。
農法として優れているのはもちろん、それをはぐくんできた歴史や文化、美しい景観、守ってきた自然などが総合的に評価されます。
「天国への階段」と呼ばれ、ユネスコの世界文化遺産にも登録されているフィリピンの棚田や、海抜4,000mで営まれるペルーのアンデス農業など、認定されているのは世界15か国36地域です。
そのうち日本では、「静岡の茶草場(ちゃぐさば)農法」「トキと共生する佐渡の里山」「清流長良川の鮎」など8地域が認定されています。
静岡の茶草場農法とは、茶畑の周りにある草地から刈り取ったススキやササなどを、寒い季節に茶畑に敷き詰める農法です。
お茶を作っている地域がどこでもやっているわけではなく、これは静岡県独自のものなのだそう。代表的なのは、掛川市や牧之原市などです。
刈り取られ、敷き詰められた草は、長い時間をかけて土に還り、よい土ができあがり、茶の味や香りが良くなるというわけです。
もちろん、そのための草地は地域全体の協力で、大切に維持されています。
さらに、一見するとススキやササが生い茂っているだけとも感じられるこの草地に、絶滅危惧種9種を含む300種以上の草花や、地域固有の昆虫など、希少な生物がたくさん生息しているのです。
良いお茶を生産する農法であるのみならず、失われつつある日本の里山風景を維持し、そこに生きる生物を守ってきた、静岡の茶草場農法。
小野園にお越しの際は、ぜひ足を伸ばして、茶畑を見ていってください。
そして、茶草場を見つけてください。
また、小野園では、世界文化遺産・富士山をモチーフにした深むし茶も多数ご用意しております。
おみやげにも最適です。ぜひお試しください。