元旦の朝、井戸から水を汲む「若水汲み」という儀式があります。
「福茶」とは、この若水で淹れたお茶に、昆布と梅干を入れたものです。
「よろこぶ」の昆布と、「松竹梅」の梅が入ったおめでたいお茶で、地方によって砂糖や大根が加わることもありますが、いずれの場合も昆布か梅のどちらか、あるいは両方が入るようです。
現代では井戸水を汲む若水汲みはなかなか難しいので、元旦の朝いちばんの水道水で代用することも多いですね。
起源は村上天皇(在位946年~967年)の頃。疫病が大流行し、空也上人が病人に梅干入りの茶を飲ませて救いました。それにあやかって、村上天皇がお正月にお茶を飲むようになったことが、庶民にまで広まったそうです。
空也上人とゆかりの深い六波羅蜜寺では、年の初めに、福茶を飲む「皇服茶(おうぶくちゃ)」という行事があります。
また、同じものを節分の日に飲む習慣がある地方もあります。節分のときは、さらに節分の豆を三粒入れて飲みます。お茶を吸って柔らかくなった豆がまたおいしいのです。
長寿で豆の数も多く、食べきれないときは(なんとおめでたい!)、このお茶を飲むことで豆を全部食べたことに代えられるそうです。
静岡県の袋井市では、豆まきの豆を茶釜に入れておき、家族みんなで代わる代わるひしゃくを使ってお茶をすくう行事があります。豆に当たった人は良いことがあるそうですよ。
新しい年や春の到来を喜ぶ、お正月や節分のお茶「福茶」には、小野園の深むし煎茶をぜひお使いください。