お茶の木の枝は、先端に「芯」があり、そこから下へと互い違いに葉がついています。
「芯」は、まだ葉が開いていない「芽」の状態の葉です。
芯と、その下の2枚の葉の部分を「一芯二葉(いっしんによう)」と言います。生まれたてで、とても柔らかい部分です。
まだ若く、紫外線をあまり浴びていないので、渋みのもととなるカテキンが生成されておらず、甘みの強いおいしいお茶になります。
新茶は一芯二葉を摘んでつくります。
この若い二葉の裏には、「うぶ毛」が生えています。
本当に人間のうぶ毛のような、細かいものがびっしりと生えています。
これを「毛茸(もうじ、もうじょう)」または「毛状突起(もうじょうとっき)」と言います。
摘んだ一芯二葉をお茶に加工する時、特にこの毛茸を取り除くことはしませんので、できあがった新茶には毛茸が混じっています。
そのため、新茶を淹れるとホコリのようなものが浮いてきます。
どなたにも、お茶を入れたらホコリが浮いていた――。湯呑みにホコリがついていたのか、あるいは茶葉にホコリが入ってしまったのか――。と思った経験があるのではないでしょうか。
ご安心ください、ホコリではなく毛茸です。もちろんそのまま飲んで大丈夫。
二葉よりも下の、三葉や四葉以降の葉は、成長しているため、毛茸はついていません。
毛茸が浮いたら、貴重な一芯二葉で作られた良い新茶だというあかしなのです。
ちなみに、茶葉だけでなく全ての植物に毛茸はあります。
形態はさまざまで、葉だけではなく茎に生える場合もあり、バラのトゲも毛状突起のひとつです。
また、ハスの葉の表面にびっしり生えているものは「絨毛(じゅうもう)」と呼ばれ、水滴を丸くはじきます。
身近な植物で、観察してみてはいかがでしょうか。
今年も小野園ではおいしい新茶ができました。
今年初の爽やかな風味をぜひご賞味ください。
【小野園の新茶】
いいなぁ 新茶の香り 2024年新茶特集