地名をひもとくと歴史が見えてきます。 静岡・奈良・鳥取・島根には「茶町」という地名がふたつずつあります。 「茶町」は、ある共通点を持っています。
【奈良県】
大和郡山市と磯城郡田原本町に「茶町」があります。大和郡山市の茶町は郡山城下にあり、周辺には塩町・魚町・雑穀町・綿町・豆腐町・車町・紺屋町・鍛治町といった地名が並びます。田原本町は奈良盆地のほぼ中央に位置し、数多くの古墳・遺跡・古社寺を有する歴史ある町です。田原本町には茶町のほか、魚町・材木町・祇園町などの地名もあります。
【鳥取県】
鳥取市と米子市に「茶町」があり、鳥取市の茶町は鳥取城跡に近く、周辺に鍛冶屋町・材木町などがあります。米子市の茶町はの米子城跡に近く、隣は塩町です。
【島根県】
松江城の近く、宍道湖のほとりに「西茶町」「東茶町」があり、西茶町の中にはさらに「中茶町」という地名があります。松江藩第7代藩主の松平不昧公は、江戸時代を代表する茶人の一人でもありますね。
【静岡県】
さて、小野園がある静岡県では、静岡市葵区と、藤枝市に、「茶町」があります。
静岡市葵区の茶町は家康公ゆかりの駿府城の城下町、藤枝市の茶町は田中城の城下町にあります。
葵区の茶町周辺は、茶市場や茶問屋など、茶関連の会社やお店が立ち並ぶお茶の聖地です。
そうです、「茶町」は、歴史ある土地にある地名なのです。
お茶がたくさん取れるまち・・・ではなく、茶に携わる職業の人が住んだまち、ということなのです。それだけお茶の需要が高く、人々が日常的にお茶を楽しんだ、豊かな藩だったのかもしれませんね。
職業ごとに住む地域を振り分けた江戸時代が終わり、明治初年の廃藩置県に始まる地域の再編を重ねるうち、正式な地名としては消えてしまった「茶町」もあります。
今に残る「茶町」という地名、ぜひ大切にしていきたいですね。