皆さんのお宅には「家紋」がありますか。
家紋とは、個人や家族・親族を識別するためのマークです。現代人の日常生活では、そうしばしば目にするものではありませんが、結婚式で紋付き袴・留袖を着る時に、また、お子様が生まれて、七五三の衣装やひな人形・五月人形を用意する時に、「そういえばうちの家紋って?」とちょっと気になったことがある方も多いのではないでしょうか。
家紋は平安時代からあるもので、公家が自分の持ち物や着物・牛車を区別するためにつけていました。その後登場した武士は、戦場で敵味方を区別するために、旗に染めた家紋を高々と掲げました。やがて強力な武士の家紋は、それだけで敵を威圧するようになります。真田家の六文銭、徳川家の三つ葉葵、井伊家の橘、浅野家の鷹の羽などが有名ですね。江戸時代になって世の中が落ち着くと、家紋は家の格式を表すシンボルになり、上下関係を瞬時に判断するのに役立ちました。
分家が本家とは少し違うものにしたり、当主が表現したい意匠を新たに加えたりして、バリエーションはどんどん豊富になり、現在の家紋の種類は数百とも数千とも言われています。
そんな家紋に、お茶を取り入れたデザインがあります。意匠に使われているのは葉ではなく実のほうで、「茶の実紋」と呼ばれます。
茶の実が家紋に採用された理由は、「お茶が高貴な飲み物だったため」「お茶の効能にあやかって長寿や健康を願うため」など、諸説ありますが、定かではありません。
現代では、茶の栽培は挿し木で行うため、タネ(実)を採取することはほとんどありませんが、かつては、実をまいて増やしたり、実を食べたり、実から油を取ったりしていたので、茶の実が身近だったのでしょう。
茶の実紋は、「橘(たちばな)紋」によく似ています。「橘」は「太刀花」に通じるため、武家の間で特に人気でした。
見分け方:
茶の実紋「実の頭が三分」「実のうしろに葉がない(実の下にはある)」
橘紋「実の頭が二分」「実のうしろに葉が三枚ある」
茶の実紋を使用したのは、清和源氏系の村田氏・山田氏、桓武平氏流の津田氏・三田氏・相馬氏、藤原氏秀郷流の松村氏・赤堀氏。藤原氏支流の室田氏・鵜飼氏・太田氏・小野氏、橘氏流の米田氏、菅原氏流の土田氏などです。
小野園の創業家、小野家の家紋は「亀甲に桔梗(ききょう)」です。
小野園の自信作、天然玉露『百年の極 芳翠』は、パッケージにこの家紋をあしらっています。小野家の家紋を背負って立つにふさわしい、一番人気のお茶です。