言わずと知れた江戸幕府の開祖・徳川家康。
「タヌキおやじ」と称されることが多い家康ですが、近年では静岡県浜松市のご当地キャラ「出世大名家康くん」の、かわいらしい姿を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
幼少期を駿河で過ごした家康は、「大御所」となって隠居してから再び駿河に戻り、晩年を送りました。
駿河に戻ってから、静岡市北部にある井川大日峠に、お茶を保管するための蔵「お茶壺屋敷」を建てさせています。
そこで大切に保管されたのはもちろん、駿河のお茶です。また、そのお茶を入れておいた壺も天下の名器ぞろいだったそうで、蔵の管理を任命された地元の大名・海野氏は重大な責任を負っていました。
初夏に摘まれた駿河のお茶は、夏の間、天然の冷蔵庫ともいうべき標高1,000メートルを超える大日峠の蔵で大切に保管され、秋になると駿府の代官所に運ばれました。
これはたいへん重要な行事で「お茶壺道中」と呼ばれました。
現在、地元の人々によってこの様子が「駿府本山お茶壺道中行列・口切りの儀 」として毎年10月下旬ごろに再現され、たくさんの観光客や歴史ファンでにぎわいます。
夏の間しっかり熟成させたお茶は、さぞまろやかな味わいだったことでしょう。
日を追うごとに寒さが増す季節には、小野園の深むし茶で温まりながら、歴史に思いをはせてみるのも楽しそうですね。