お正月に、無病息災を願って「大福茶(おおぶくちゃ)」を飲む習慣があります。
緑茶・紅茶・ウーロン茶、煎茶・抹茶・玄米茶といった「お茶の種類」のひとつのように見える名前ですが、そうではありません。
【用意するもの】
煎茶、梅干し、結び昆布
【作り方】
湯飲みに、梅干しと結び昆布を入れ、煎茶を注ぎます。
お茶は、煎茶のほか、玄米茶でもおいしいですよ。
大福茶の始まりは1000年以上前といわれています。村上天皇(在位946年〜967年)の頃です。
空也上人(903-972)が観音様にお供えしたお茶を病人に飲ませたら病気が治った(注1)ということから、それにあやかって、村上天皇がお正月にお茶を飲むようになり、それが庶民にまで広まったという説があります。
また、現存する日本最古の医学書「医心方」には、村上天皇が病気になった際、治療に梅干しと昆布の入ったお茶が使われたという記述があるそうです(注2)。そういった伝承が合わさって、お正月に梅干しと昆布を入れたお茶を飲むようになったとされています(※諸説あります)。
この時代は、気候変動が激しく、大雨や大風が繰り返し起こり、それに伴って疫病が大流行しました(注3)。麻疹(はしか)やインフルエンザ、天然痘などで、多数の死者が出たそうです。また、お茶は貴重で、嗜好品としてではなく薬として飲まれていました。
相次ぐ天災とパンデミックに苦しむ人々の心は、1000年前も現代も変わりません。
感染拡大に備える日々はまだまだ続きますが、お正月は縁起の良いお茶で、一年間の無病息災を願ってみてはいかがでしょうか。
小野園の高地煎茶は、大福茶を作るのにも適しています。
「お年賀」は年始のご挨拶にもぴったり。
https://onoen.jp/product/20-w-nwnga/
また、小野園では、1月3日の初売りより、店頭にて先着100名様に大福茶をプレゼントいたします。お近くにおいでの際は、ぜひお立ち寄りください。
https://onoen.jp/newyear-holiday-2021
注2:梅干しの嗜好性 冨田教代 – 常磐短期大学研究紀要 第29号
注3:科学データが見せる 10世紀に社会が大きく変化したわけ 笹生衛 – 國學院大學