お茶の子さいさい
「お茶の子(または御茶の子)」は、「茶の子」の丁寧語。「茶の子」とは、お茶菓子のこと。お茶菓子は、軽くつまめる、お腹にたまらないお菓子ですので、「朝飯前」と同じで、「簡単にできること」を意味します。「さいさい」ははやし言葉です。現代語ふうにすると、「そんなの簡単、ピーヒャララー」といった感じでしょうか。
へそが茶を沸かす
おもしろおかしくてたまらない様子、それもばかばかしくて笑いが止まらない様子を指します。お茶を入れるときに沸かすお湯が沸騰してグラグラする様子と、笑いすぎて腹筋がユラユラ揺れる様子をかけたのでしょうね。「へそが≪湯≫を沸かす」ではないところに昔の人の機微が感じられます。
茶の間
住宅の中の一室。「お茶の間」とも言い、現代の子どもたちや若者にはどんな部屋か想像もつかないかもしれませんが、リビングダイニングのことです。昔の人は、家族が集まってくつろいだり食事をしたりする部屋を「お茶を飲む部屋」と名づけました。今でも、一家だんらんとお茶は切り離せない関係なのではないでしょうか。
お茶を引く
お客様が来なくて仕事がない状態を「お茶を引く」と言います。遊郭などでは、お客がつかなくてヒマな遊女や芸者は、時間つぶしに茶葉を臼で引いて抹茶にする仕事をさせられていたことから来ています。
茶づる
江戸時代には「茶漬けを食べる」を「茶づる」と言ったそうです。洒落本『多佳余宇辞(たかようじ)』に「これやい、茶づるから茶をもつて来い(おい、茶漬けを食うから茶を持って来い)」という記述が残っています。今どきの若者が、コーヒーチェーン店に行くのを「スタバる」、インターネットで調べ物をすることを「ググる」と言うのと同じですね。
このように、ひとつのキーワード(当コラムでは「茶」)を決めて慣用表現やことわざをひもといていくと、先人のセンスの良さや日本語の妙味が見えてきます。それと同時に、「茶」だけでもたくさんの表現があることから、お茶がいかに私たちの生活に密着しているか分かりますね。
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