ペットボトルのお茶がごく一般的になり、皆さんのお茶そのものの消費量は変わらないものの、急須や茶こしなどの茶器を持たないご家庭も多くなっているようです。
温かいお茶も冷たいお茶も、自動販売機やコンビニエンスストアで簡単に手に入りますが、改めて「家庭で、茶葉から淹れる」ということを考えてみました。
最大の利点は、味と温度を自分の好きなように調節できることです。
たとえば、お茶の渋みのもと「タンニン」は、高温なお湯によく溶け出します。
味の濃いお料理やこってりしたお料理のあとは、多めの茶葉に80度ぐらいのお湯を使って淹れると、お口直しにぴったりの濃厚なお茶が入ります。
のどが渇いていてたくさん飲みたいときは、沸かしたお湯を60度ぐらいまで冷ましてから淹れると、さっぱりしたお茶になります。
次に、量も調節できること。
500ミリリットル入りを買ったは良いものの、飲みきれなくて捨ててしまったという経験はありませんか。急須を使って茶葉で淹れるなら、飲みたい量だけ淹れることができます。
最後に、これが一番大切なことかもしれません。栄養素の質が違うことです。
「宵越しのお茶は飲むな」という言葉があります。お茶は酸化しやすいため、時間がたちすぎたものはかえって体に悪いからです。家庭で淹れたお茶は、確かに時間とともに変色しますね。
市販のお茶が変色しないのは、酸化防止のためにいろいろな加工がされているからです。
茶葉から自然に抽出されるビタミンCと、酸化防止のために添加された人工的なビタミンC、どちらを飲みたいですか?
また、急須で淹れたお茶は、細かすぎて粉末状になった茶葉も湯飲みに入ってきます。この、わずかな茶葉に含まれる栄養素も大事なのです。
市販のお茶は、賞味期限や見た目のために、こういった沈殿物は取り除いてしまいます。
外出先で急にお茶が飲みたくなったとき、市販のお茶はとってもありがたい存在です。
でも、おうちにいるときは、茶葉からゆっくり淹れた家庭のお茶を静かに味わいたいものですね。